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2023.04.11
【Wingsこそだてゼミ】第7回:子どもの英語教育 〜「英語ができるようになる」ってどういうこと?〜
グローバル化が進み、近年日本の小学校を含めさまざまな教育機関で注力されている「英語教育」。文部科学省でも、グローバル化に対応した英語教育改革が提言されています。(※1)
みなさんも子育てをしていく上で、「自分の子どもには英語ができるようになってほしい!」と考える方が多いのではないのでしょうか。
そこで質問です!
「英語力を身につける」とは、一体どういうことなのでしょうか?
皆さんはどのようなレベルを「英語ができるようになる」と考えますか?
今回のWingsこそだてゼミでは、
・英語ができるようになるとはどういう状態のことか
・バイリンガルとは何か
・バイリンガル教育
について、一緒に見ていきます!
毎日あふれるほどの情報の中で「英語ができるようになるってどういうこと?バイリンガル教育ってなに?日本で子育てをしながらでも子どもはバイリンガルになれるの?」と悩んでいる方は、ぜひこのブログを参考にしてみてみてください!☺️
・ ・ ・
目次
このブログはこんな人に読んでほしい
- これから子育てが始まる方
- 現在2~5歳のお子さんをお持ちの方
- 子どもを幸せにするヒントが欲しい方
- 英語教育について知りたい方
- 子育て方法について模索中の方
英語ができるってどんな状態?
「英語ができるようになる、話せるようになる」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか?
いわゆる日本の公立学校の英語教育では、「ペン」を例として挙げると、
“What’s this?(これは何?)” という質問に対して
“This is a pen.(これはペンです。)” と答えられること
=英語が話せる
という考え方が、これまで浸透していたのではないでしょうか。
しかしこのように一問一答に答えること、実は「英語が話せる状態」とは言えません!
日本語という言語と同じように、英語を自由に使えない状態では、英語力が高いとは言えません。
文部科学省は、言葉の働き・機能について以下のように説明しています。
日本語も外国語も、言語として、同じ言葉の働き(機能)を持っており、言語に関する資質・能力は、以下の3つが挙げられる。
①個別の知識や技能
②思考力・判断力・表現力
③学びに向かう力、人間性(※2)文部科学省『言語能力の向上に関する特別チーム関係資料』https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/074/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/22/1368720_4_2.pdf
上記を参考にすると、情報が脳に入ってからそれを理解・思考して表現するすべての流れを”英語で”完結できるようになる状態が、言葉としての機能を果たす「英語ができる状態」と言えるのではないでしょうか。
つまり英語ができる状態とは、
話す・聞く力に加え物事をすべて英語で考えられるようになる
(=英語で思考することができる)
ということになりますね!
バイリンガルとは?
次にバイリンガルとは一体何か、どのように定義されるのか、見ていきましょう!
辞書での定義を参考にすると主に以下の2つの意味があることがわかります。(※3)
- 2つの言語を使用すること
- その能力をもっている人
しかし、バイリンガルとしての能力に明確な基準は示されていません。
それでは、何をもって”高度なバイリンガル”とするのでしょうか?
トロント大学名誉教授で言語学者の中島さんは、バイリンガル人材について以下のように説明しています。
「バイリンガルとは、一つ以上のことばを必要に応じて使い分けられる高度な語学力を兼ね備えた人材」 (※4)
つまり英語を習得する日本人にとって、高度なバイリンガルとは
日本語でも英語でも必要に応じて使い分けることができる人
と言えるのではないでしょうか。
そのため、バイリンガル教育は英語教育だけでは成り立たず、あくまでも母国語である日本語が土台として存在するんです。
バイリンガル教育=英語教育ではないことがわかりますね!
バイリンガル教育では母語が重要な役割を果たす
カミンズ教授の研究に加え、言語学者でトロント大学名誉教授の中島教授は、バイリンガル教育について次のように説明しています。
高度な認知力を必要とするコミュニケーション(文章の読解や作文など)ほど、母語で身につけた力が土台となって、第二言語を学ぶときに役立つと考えられています。(※4)
子どもの頭の中では英語と日本語がバラバラに育つわけではありません。
小1の日本語と小6の日本語が異なるように、子どもの脳の中で、知恵と一緒に子どもの言語は発達します。
母国語である日本語にくっついて英語も発達していく、
それが高度なバイリンガル教育です!
だからこそ、日本語を犠牲にしない英語力を培うことが、高度なバイリンガル教育には重要なんです!
それでは、日本にいながら高度なバイリンガルは育つのかどうか、見ていきましょう!
日本でも高度なバイリンガルは育つのか
結論から言うと、
正しい環境と一定の学習時間を確保すれば、日本でもバイリンガルは育ちます!
高度のバイリンガル教育には、主に以下の3つが重要な要素として考えられています。
- ことばの「使い分け」
- 学習過程(=接触量と質)
- 習得年齢
それでは、上記の要素について詳しく見ていきましょう!
環境づくりで大切なこと
高度なバイリンガルを育てるための正しい環境とは、どのような環境なんでしょうか。
トロント大学名誉教授の中島さんは、バイリンガル教育について以下のように説明しています。
2つのことばに触れながら育つ子どもたちは、周囲の大人のことばの使い分けがしっかりしていればいるほど、2つのことばがきちんと分化して育ちやすい。(※4)
特に子どもが幼ければ幼いほど、大人の方はことばの「使い分け」をはっきりさせる必要があります!なぜなら、自然に任せておくと子どもは楽な方のことばだけを使いたがり、結果どちらかの言語能力が低くなってしまうからです。
例えば、英語教育を受ける何らかの機関では英語を使い、家庭では日本語を話す、というように環境によって使う言語を区別することが大切です。
日本語と英語を完全な自然習得に任せるためには、それぞれの言語を場所や環境に応じてきちんと使い分けることが求められるんですね。
どのような学習過程が必要?
どのような英語学習を進めていくべきなのか、という点はバイリンガル教育に大切な要素の一つです。
私達は言語を習得するとき、
- 新しい英語の表現を知り(INPUT)
- 自分の言葉として使う(OUTPUT)
プロセスを自然と繰り返しています。
INPUTとOUTPUTの繰り返しにリアルな実体験が積み重なっていくことで、子どもたちは母国語と同じように英語を身につけていきます。
そのため、どれだけ「英語習得サイクル」の質を高め、その回数を増やせるかが、英語習得環境の良し悪しを決めます!
では、実際にどのくらいの学習時間が最低限必要なのでしょうか。
アメリカ国務省の機関FSIによる「Language Learning Difficulty for English Speakers」の研究では、以下のようなことが明らかになりました。(※5)
- 英語が母国語の調査対象員にとって、日本語習得に要した期間は、約88週間(授業2200時間)であった
ということは、日本語が母国語の人にとって英語習得に必要な学習時間も、上記の研究結果を参考にすることができますね。
つまり、英語を習得するために最低限必要な学習時間は、約2200時間と言えるでしょう。
いつから英語学習を始めるべき?
なぜ幼児期から英語教育を始めることが求められるのでしょうか。
そして、いつ頃から英語教育を始めるべきなのでしょうか。
それは「母国語と同じプロセスで英語を習得できる」からです!
言語をスムーズに習得できると言われている一定の年齢について、カナダの脳科学医ペンフィールドや、MITの脳科学者らが執筆した論文では、以下のように結論づけています。
9歳ごろからは、だんだん脳皮質が堅くなって、思春期には柔軟性を失うので、バイリンガル教育は9歳以前に始めるべきだ。(※6)Penfield, R. & Lamer, R. 1966 Speech and Brain-mechanism. New York: Atheneum.
10歳以降に新たな言語の学習をはじめた場合、ネイティブレベルの流暢さを獲得するのは困難である。10歳を少し経過したくらいの年齢から開始した場合、かなり流暢になれる可能性があるが、完全な流暢さを獲得するのは難しい。(※7)Joshua K. Hartshorne, Joshua B. Tenenbaum, Steven Pinker,
A critical period for second language acquisition: Evidence from 2/3 million English speakers, Cognition, Volume 177, 2018,
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010027718300994#!
さらに英会話スクールを運営するWings Kids Familyでは、受講開始年齢が早いほどTOEFL Primaryのスコアが高い子どもが多いという傾向がわかりました。
以下のグラフでは、TOEFLスコアと年齢の関係性を示しています。一般的に有名な中学校の受験入試で、「帰国子女枠」として合格することができるレベルが、TOEFL Primaryのスコアで230〜と言われています。
受講開始年齢を未就学児と小学校以降の2つのグループに分けてみると
早く英語学習を始めた子どもほど、TOEFL Primaryのスコアが高い傾向にあることがわかりますね!
この傾向の一つの要因として、
脳の成長につれて「聞く音と聞かない音」を区別するようになることが関係します。
子どもの脳が成長するにつれ、母語に含まれない音は「雑音(ノイズ)」としてブロックする様になります。
つまり「自分にとって母国語は何か」を脳が決定するという事です。
母国語が確定した後は「外国語として」苦労しながら英語を習得することになりますが、母国語が確定する前は全ての音に対してオープンであるため、「母国語と同じプロセスで」英語を習得出来るのです。
つまり、聞いた音をそのまま習得できるのが、子供達が英語習得において圧倒に有利な理由です
できるだけ早くバイリンガル教育を始めることで、より高い効果が得られることがわかりますね!
英語学習、何歳から始めるべき?
それではどのくらい早くから、お子さんに英語学習をさせることが効果的だと言われているのでしょうか。
一般的に、家庭外の環境で英語学習を始める上で適切な年齢は、2~3歳だと言われています。
これは、心理学者のエリクソンが提唱したことで知られている「心理社会的発達理論」に基づきます。(※8)
子どもの成長には個人差がありますが、エリクソンによると
およそ1歳後半から子どもは自律性が育つ時期であり、いわゆる「しつけ」を始められる段階なんです。
そのため、適切な発達段階で英語学習を始めるという点で、2〜3歳が最適だと考えられますね。
Wings Global Home
英会話スクールを運営するここWings Kids Familyでは、母国語をおろそかにすることのない高度な日英バイリンガル教育を行っています。
まとめ
- 英語ができる状態とは、話す・聞く力に加え物事をすべて英語で考えられるようになること
- 高度な日英バイリンガルとは、日本語でも英語でも必要に応じて使い分けることができる人
- 正しい環境が整えば、日本でもバイリンガルは育つ
- バイリンガル教育では母語が重要な役割を果たす
- Wings Global Homeでは母語を犠牲にしないバイリンガル教育に取り組んでいる
参考文献
(※1)文部科学省『内閣府特集 『自己認識|平成26年版子ども・若者白書(全体版)』https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/attach/1352464.htm
(※2)文部科学省『言語能力の向上に関する特別チーム関係資料』https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/074/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/22/1368720_4_2.pdf
(※3)weblio辞書https://www.weblio.jp/content/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AB
(※4)中島和子(2001)『多言語・多文化共生社会とバイリンガル教育』
(※5)The Foreign Service Institute(FSI)『Language Learning Difficulty for English Speakers』
(※6)Joshua K. Hartshorne, Joshua B. Tenenbaum, Steven Pinker,
A critical period for second language acquisition: Evidence from 2/3 million English speakers, Cognition, Volume 177, 2018 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010027718300994#!
(※7)Penfield, R. & Lamer, R. 1966 Speech and Brain-mechanism. New York: Atheneum.
(※8)Orenstein GA, Lewis L. Eriksons Stages of Psychosocial Development. [Updated 2020 Nov 22]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2021 Jan-. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK556096/
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