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2023.04.11
【Wingsこそだてゼミ】第10回:運動能力を伸ばす子育て
こんにちは!Wingsインターン生のRioです。早いもので、私がこそだてゼミを書くのももう3回目になりました。
さて、これまでアタッチメント形成、IQとEQなどについて書いてきた本ブログですが、今回のテーマは運動能力です。スポーツが得意な子に育てるには何が効果的?運動能力と学力との関係は?といった疑問について、過去の研究や教室での事例から、どんなことが明らかになるか見ていきましょう!
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目次
このブログはこんな人に読んでほしい
- これから子育てが始まる方
- 現在2~5歳のお子さんをお持ちの方
- 子どもを幸せにするヒントが欲しい方
- 子どもの運動能力を伸ばす方法について知りたい方
- 子育て方法について模索中の方
そもそも運動能力とは?
スポーツができることを指す言葉として、運動神経、運動能力、身体能力…などがよく知られていると思います。医学的に明確な定義はありませんが、多くの研究や論文、文部科学省の調査等に使われる言葉は、運動能力です。
運動能力が高いと言うと、足が速い、球技が上手い、ダンスが得意というように、スポーツを器用にこなせる様子を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、スポーツが上手いという能力のベースには、モータースキルとも呼ばれるような脳神経と連動した基礎的な動作が必要なのです。つまり、頭の中でイメージした動きをズレなく再現できることが、運動能力が高さとも言えるでしょう。これを踏まえて本ブログの中では、意図した通りに身体を動かせる力=運動能力として話を進めます。
運動能力と学力の関係
運動能力と学力の関係についても、少し触れておきましょう。これら二つには明確な因果関係は認められないものの、相関関係はあると言われています。例として、アメリカの研究についてまとめたスポーツ庁の記事を見てみましょう。
カリフォルニア州の小・中学生を対象にした調査「カリフォルニア州の体力と学力の相関関係」によると、「運動能力が優れた子は学力テストの結果も同様にいい」という結果も出ています。イリノイ州で実施された別の研究「小学生の全身持久力と算数・読解テストの成績との関係(Hillman, C. H. et al. (2008)Be smart, exercise your heart: exercise effects on brain and cognition. Nat Rev Neurosci., 9:58-65.)」では、テスト中の子供たちの脳波は運動後も活発だったという結果も出ました。これらの研究は、運動による刺激や体力の向上が、記憶や認知、論理的思考の構築や集中力と関係があることを示しています。『運動ができるようになると、アタマもよくなる!?専門家に聞く!子供の能力を引き出すためのメソッド』スポーツ庁 Web 広報マガジン DEPORTARE.2019/3/28 公開,(https://sports.go.jp/tag/kids/post-20.html)
勉強で数学の公式を覚えて使えるようになるのと同様に、運動も「走る」「投げる」「打つ」「跳ぶ」などの動作を脳に記憶させ、それを引き出すことで上手く身体を動かせるというのです。
運動能力はどうやって伸ばせるか?
遺伝で決まると思われがちな運動能力ですが、実は生まれ持った力(先天的要素)と後から身につく力(後天的要素)が複雑に絡み合っています。体格や心肺機能など一定の遺伝的要素が含まれる一方で、幼少期の環境や経験によって脳の神経回路を後天的に鍛えることができるのです。では、お子さんの運動能力を伸ばすために、どのようなことができるのでしょうか?
お子さんの運動能力を伸ばす上でまず大事なのは、遊びを通じて身体の動かし方を覚えさせてあげる、動作の引き出しを沢山作ることです。動作の引き出しを作るのに有効な取り組みを、見てみましょう。
- アスレチック
- 水泳
- ボール遊び
- 鬼ごっこ
- バランスゲーム …etc.
アスレチックには「跳ぶ」「引っ張る」「登る」、ボール遊びには「投げる」「受ける」、鬼ごっこには「走る」「切り返す」など異なる動作が含まれるのが分かると思います。幼少期は、同じ動きを繰り返す一つの競技に特化するよりも、複数の動きをバランスよく取り入れた運動遊びを楽しむのが良いと言えるでしょう。
発達段階に合った運動の取り入れ方
お子さんの運動能力を伸ばす上でもう一つ大事なのが、取り組む時期です。小学校低学年~高学年は、運動能力に関わる脳の神経系が完成に近づき、特定のスポーツが上達するのに最適な時期=ゴールデンエイジと呼ばれています。その年齢に達する前段階の1~7歳=プレゴールデンエイジの神経系の発達について、『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』の著者・髙橋宏文氏(東京学芸大学教育学部准教授)は、
脳と体、あるいは体の部位と部位の「神経回路」がしっかり連係しているほど、電気信号は速く、正しく伝わります。これによって体がスムーズに、そして自分の思い通りに動かせるようになるのです。高橋宏文(2018),『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』, メディア・パル.
と述べています。このプレゴールデンエイジにいかに神経回路を鍛えるかが、将来の運動能力を左右するとも言えるでしょう。
具体的にできることとしては、前項で述べたアスレチックなどの運動遊びが挙げられます。その上で、お子さんの「楽しい、やりたい」という運動に対するポジティブな思いを育んであげることが大切です。動きのある遊びを積極的に取り入れる、できた時に沢山褒める、大人も思いっきり一緒に楽しむ…といった工夫により、自然と運動が好きになっていくと思われます。
このように、プレゴールデンエイジ期に動作の引き出しを増やすと同時に運動への自発性を高めることが、ゴールデンエイジ期にサッカーや野球など具体的な種目に挑戦した際、運動能力が開花するカギになるのではないでしょうか。
Wingsでの取り組み
Wingsでは、プレゴールデンエイジ期にあたるお子さんたちが、日々英語でP.E. Classに取り組んでいます。
例えば、「だるまさんがころんだ」の英語バージョン「Red Light, Green Light」。単調に走る動きだけでなく、かわしたり止まったり、相手の動きを見ながら状況判断したりすることで、総合的な連続動作の練習になります。
また、「Play with Balls」というボール遊びの時間には、発達段階に応じて「走りながら蹴る」「追いかけながら投げる」などの動作を組合せ、バランス感覚や動体視力も養います。
どの運動遊びにも共通しているのは、ゲーム性を取り入れていること、先生たちも全力で楽しんでいることです。基礎的な動作を習得するのと同時に、社会性の促進やチームワークの経験も同時に叶います。ご家庭でお子さんと運動遊びをする際も、是非コミュニケーションを取りながら色んな動作を楽しんでみてください!
まとめ
- 運動能力の高さとは、意図した通りに身体を動かせること
- 運動能力と学力には相関関係がある
- 後天的に運動能力を伸ばすことも可能
- プレゴールデンエイジに色んな動作の引き出しを作るのが重要
- プレゴールデンエイジに神経回路や主体性を鍛えることで、ゴールデンエイジに運動能力が開花する
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いかがでしたでしょうか?早期からあるスポーツに特化して習わせた方がいい、という考えもありますが、幼児期に総合的な動作を習得することの重要性が今回のブログで伝わっていると嬉しいです。
次回のこそだてゼミもお楽しみに!
参考文献
・深代千之(2016).「成長・発達とバイオメカニクス」『学術の動向』11 巻, 10 号 ,pp.24-27.
・西端泉(2017).「こどもの学力に及ぼす身体活動の影響」『川崎市立看護短期大学紀要』 22(1), pp.1-7.
・佐々木公之,大田住吉,桃原司,後藤大輔(2021),「プレゴールデンエイジ期におけるキンダートーネン(ドイツ式子ども体操)運動学習効果の科学的検証およびSECIモデルによるナレッジ・マネジメント導入に関する研究」(第1報).
・スポーツ庁(2019).「運動ができるようになると、アタマもよくなる!?専門家に聞く!子供の能力を引き出すためのメソッド」 Web 広報マガジンDEPORTARE.https://sports.go.jp/tag/kids/post-20.html,(参照 2022-02-07).
・高橋宏文(2018).『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』.メディア・パル.
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